金融関連書籍
最近資産運用に興味を持ち始めた。ところが、私はこれまで全くその分野に興味を持ってこなかったので、知識がほとんどない状態だ。まずは手始めにということで、図書館に赴き、数冊の本を手にした。なるべく趣向の違う本を選ぶように心がけた。
といった本だ。最後の二冊は別の機会に譲るとして、まずは、最初に読んだ二冊について、メモ代わりに勉強したことを以下に記す。
『知識ゼロからの金儲け(島田紳助著)』
本書は島田紳助さんの金儲けの考え方を豊富な実体験を例にとりながらおもしろおかしく記している本であり、金融の基本的な部分についても触れられている。実体験を通じて得た紳介氏の考え方も面白く、勉強になったのだが、以下には金融に関する考え方と知識を中心にメモとして記す。金融に関する紳介氏の考え方として本全体を通じて貫かれているのは以下の二点。
- 円だけでお金を持っていることのリスクを強調している。
- 円、外貨、株、債券等でリスクを分散させるべし。
以下に本書に書いてある金融に関する基礎知識のうち覚えておきたいと思った箇所をまとめる。
「金利と株価の関係」
公定歩合があがれば、銀行が企業に貸し出す金利も上がる。企業は資金を調達しづらくなり、企業活動が押さえられ、景気も冷える。故に一般的には金利が上がれば株価は下がる。逆も基本的には真で、「金利が下がれば株価は上がる」。ただし、1991年から1995年にかけて日銀は公定歩合を9回下げたのにもかかわらず、景気は上昇せず、株価は低迷を続けた。景気がピークにあるときは、「金利が上がれば株価は下がる」という関係があるが、景気が底を抜け出すときには「金利が上がって株価も上がる」という動きが見られるらしい。両者が比較的早く影響し合う場合と、何年もの時間差がある場合もある。
「国債の大量発行と金利、為替、株価の関係」
国債が大量発行されるとだぶついて債券の流通価格が下がる。流通価格が下がれば利回りの上昇となる。
たとえば券面額100万円で券面利率5%の10年物の利付国債を券面通り100万円で購入。そのまま持っていれば年5万円の儲けで利回りは5%。これが国債がだぶついた結果、95万円でしか売れなかったとする。買った側からすると、一年あたりの儲けは利札(債券の利子)の5万円と価格差5万円割る10年で5000円で、合計5万5000円。これを95万円で割って利回りを算出すると、約5.8%。すなわち債券において価格の下落は利回りの上昇につながる。
その結果、国債は投資家にとって魅力のある金融商品となり、株が売られて国債が買われる。また、海外からも買われると円買いとなり、円高となる。さらに、10年物の長期国債は指標銘柄とされているため、利回りの上昇は銀行の長期貸出し金利の上昇を誘う。上記の通り、円高と金利上昇は株の下落を招き、景気の悪化を呼ぶ。
『最新金融の基本とカラクリがよ〜くわかる本(久保田博幸)』
感想としては「用語の定義が端的でない」点や「関連用語が分散して書かれており読みづらい」点や「用語の意味が十分に説明されていないものが散見される」点が気になる場合もあったが、金融に関するおおまかな知識を仕入れることができ、有意義ではあった。ただ、図書館にあったという理由で手に取ってはみたものの、きっともっと良書が世にはたくさんあることだろうとも思う。
日銀の3つの役割
- 発券銀行
- 戦費調達のため政府が紙幣を乱発したことでインフレが引き起こされたという歴史的経緯がある。
- お金を発行・管理するところ政府とは別の組織に移すことで、お金に対しての信用を強化するとともに、物価の安定を図ることを可能としている。
- 政府の銀行
- 銀行の銀行
日銀の金融政策
- 公開市場操作(金融調節)
- 公定歩合操作
- 公定歩合とは日銀が民間金融機関に対して貸出しを行う際に適用する基準金利を指す。2001年2月9日の金融政策決定会合において、公定歩合を0.15%に引き下げ、さらに「ロンバート型貸出」を導入し、短期国債の買い切りオペレーションを積極活用することが決められたことで、形骸化していた公定歩合に別の機能が備わった。ロンバート型貸出とは、金融機関が日銀に差し出している国債等の担保額の範囲内で、金融機関の要請があれば公定歩合の金利で翌日まで資金を貸す制度。従来は金融機関への貸出しの可否は日銀が判断していたが、金融機関が要請すれば必ず担保額の範囲内で借りることができる点が異なる。信用不安などである銀行の資金調達が難しくなった際に、公定歩合で資金調達できることが保証される。したがって公定歩合が上限金利として機能する。もし短期金利が公定歩合を上回れば、日銀から借りた方が利払いが少ないからである。
- 預金準備率操作
ゼロ金利政策と量的緩和政策
- ゼロ金利政策
- 量的緩和政策
- ゼロ金利政策によって金利をゼロ近辺に誘導してもまだデフレ脱却への動きを見せなかった日本経済の活性化に向けて行われた金融緩和政策で以下の特徴がある。
- 民間金融機関が日銀の当座預金に置いている残高を、決められた額(所要準備)である6兆円程度に対して、最終的には30兆から35兆円になるように資金供給を行った。主に、銀行から国債を買い取る買いオペレーションにより実施。金融市場の資金量が多くなれば、金融機関から個人・企業への貸出しにまわる資金量も増えることになり(日銀の当座預金は利子がつかないため)、金融緩和と同じような効果が生まれる。
- 「消費者物価指数の上昇率が安定的に前年比でゼロ%以上になる」という量的緩和政策の解除条件をクリアに設定した。その結果ゼロ金利が長期間続くとの見通しによって、さらに長期の金利の低下も促された(時間軸効果)。日銀の当座預金に預金が増えればロンバート貸付による資金調達が可能になり、銀行として資金調達が楽になるので、企業への積極的な融資を誘導することができる。一方企業にしても、時間軸効果により長期金利が当面低いとの予想が立ち、設備投資等に積極投資することを誘導できる。
- ゼロ金利政策によって金利をゼロ近辺に誘導してもまだデフレ脱却への動きを見せなかった日本経済の活性化に向けて行われた金融緩和政策で以下の特徴がある。
外国為替
株
- 株式会社:資本の出資者を広く一般に公募し、多額の資金を調達する仕組みを持つ会社。出資者が出資した金額の分だけ責任を負うという形式の有限責任の法人。株主権は有価証券のひとつである株式に表示され、自由に譲渡することができる。その株を購入した際には、たとえ投資した会社が倒産したとしても、その会社の債権者に対して責任を負うことはなく、あくまで株主は自分の出資した分だけの損失に止まるという制度。
- 株主の権利
- 経営参加権:所有株数に応じて議決権を行使する権利
- 配当請求権:利益の分配を受ける権利
- 残余財産分配請求権:会社解散時に残った財産の分配を受ける権利
- (新株引受権:新株発行の際に優先的に新株を引き受ける権利)今は存在しない?以下ウィキペディアより抜粋(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%A0%AA%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%A8%A9)
従来、新株予約権は、新株引受権と呼ばれていた。しかし、この語は「新株発行の際に優先的に新株を引き受ける権利」と「会社に対して行使することにより有償で新株又は自己株式の交付を受けられる権利」の両方の意味を持っていた。そのため、平成13年商法改正時にこの概念を分離し、前者を新株引受権、後者を新株予約権と定義した。また、新株引受権は、行使をする者を限定しない概念であったが会社法制定に伴い新株引受権の行使権者は「株主」に制限され用語自体は破棄された。これにより、募集株式の発行の際に第三者が有利発行を受ける権利については名称そのものが存在しない事になった。更に、平成13年改正までの新株予約権は新株引受権付社債のように社債に附され、分離する事が不可能であったがこの改正により単独発行が認められるようになった。そのため新株予約権のみを売買することが可能となった。
- 証券取引所:主に株式や債券の売買取引を行うための施設であり、資本主義経済における中心的な役割を果たしている。経済の発展に欠かせない資金調達と資本運用の双方が効率的に行われるようにするため、株式および債券の需給を取引所に集中させ、流動性の向上と安定した価格形成を図ることがその主な役割である。
債券
- 債券市場は、発行市場と流通市場に分けられる。
- 発行市場:新たに債券が発行される市場
- 流通市場:既発債(すでに発行された債券)が売買される場所
- 債券の中でも中心的な役割を果たしているのが国債(国庫債券)である。国債は国の財政に大きく関わり、日本の金利体系の中でも、長期金利としての重要な役割も担っている。日本の長期金利の指標としては、一般に10年満期の国債の中で最も直近に入札されたもの(新発10年物国債)の利回りを指している。債券市場においては株式などのように価格ではなく、利回り(金利)を基準にして売買される。
- 利回り:
償還価格 ー 債券価格 表面利率 + ーーーーーーーーーーー 残存年数 利回り(%)= ーーーーーーーーーーーーーーーーーー × 100 債券価格
- 一方流通市場についてみると、国債は原則として発行日から取引所に上場されているが、取引所における売買は株式等に比べれば極端に少なく、業者と言われる銀行や証券会社と機関投資家の間、もしくは業者と業者の間などで直接売買されている。この直接的な取引を取引所取引と区別するために店頭取引(オーバー・ザ・カウンター)とも呼ぶ。
- 日本の国債には多くの種類がある。それらは発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。国債の額面は、15年変動利付国債と物価連動国債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円である。物価連動国債と割引短期国債(TB)、政府短期証券(FB)は法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能である。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%82%B5)
- 最も期間の短い国債はFBとTBで、利息の支払い方式が「割引形式」となっている。割引形式とは、額面金額より利息相当分が割り引いて発行され、券面に表示されている額面金額で償還されることで、発行価格と額面価格との差が利息に相当するものである。ただし、当該国債の取得は金融・資本市場に通じた機関投資家に限定されており、個人での購入は不可能。
- 国債の種類を利払いや償還額で分類すると、
- 国債の種類を償還期間によって分類すると、
短期金融市場
- 期間一年未満の金融取引が行われる市場で、マネーマーケットとも呼ばれる。(対して1年超の金融取引を行っている市場はキャピタルマーケット、つまり資本市場もしくは証券市場と呼ばれる)短期金融市場は、銀行等の金融機関や、一般の事業法人が短期の資金を調達・運用する場となっている。ゼロ金利政策と量的緩和政策により、短期金融市場は機能不全に陥ったが、両金融政策の解除により、再び金利を形成する機能が回復してきた。
金融デリバティブ
- 伝統的な金融取引である借り入れや預金、さらに債券売買、外国為替、株式売買等の相場変動に伴うリスク(価格変動リスク)を回避するために開発された金融商品。
- 仕組み債:金融デリバティブ取引などを通常の債券に組み込むことに寄って、発行体と投資家の両者のニーズに合うように設計された債券。以下Wikipediaより:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%95%E7%B5%84%E5%82%B5
仕組債は、発行者にとっては自身の調達コストがはっきりと投資家にわからないこと、投資家にとっては通常の債券では得られないキャッシュフローが得られること、販売会社にとっては販売手数料、デリバティブの提供者にとってはヘッジポジションによるトレード収益のメリットがある。
デメリットはその複雑さと、会計問題、そして流動性の低さである。
仕組債の利率もしくは償還金額(償還形態)、早期償還の条件はデリバティブの対象アセットにより変動する。対象アセットとして主要なものは、金利、為替、株式、各種指標、クレジット、コモディティー、投資信託等、基本的に市場があれば何でも可能である。当初はキャップをつけたものやステップアップ債、ステップダウン債といったキャッシュフローを組み替えただけのシンプルなものが主流であったが、デリバティブの発展と共に、最近ではTarget Redemption債(TARN)といった複雑な経路依存型オプションを組み込んだ商品が数多く見られる。
仕組債の発行者の大半は裏でスワップを組んでおり、複雑なデリバティブの提供者は外資系を含めた証券会社を中心とする金融機関である。起債の自由度が高いユーロ市場での発行が大半で、EMTNプログラムにより発行されることが多い。
個人投資家は証券会社の「売出し」(公募)による仕組債を購入することが可能だが、資金力のある富裕層や法人は、希望するキャッシュフローや投資年限、許容リスクなどに応じてオーダーメイドで発行される私募仕組債に投資することが可能である。私募の仕組債への投資単位は、取り扱う証券会社にもよるが、1,000万円程度である。完全に自由にオーダーメイドしたい場合は5,000万円から1億円以上となる。
なお、個別の仕組債の名前は通称であり、特に決まった定義はない。同じ形であっても、販売会社によって違う名前で呼ぶことがある。
最近では、預金に仕組みを持たせた「仕組預金」や、投資信託に仕組みを組み込んだ「仕組投資信託」もある。
中身が同じデリバティブであれば、その他のコストでは、仕組預金が一番安く、次が仕組債で、投資信託が一番コスト高である。ただし、個人投資家が購入するという点においては、一度にまとまった金額を設定することでスケールメリットを享受できる仕組債の売出しがコスト面では有利である。