金持ち父さん貧乏父さん

ロバート・キヨサキ氏と公認会計士シャロン・レクター女史の共著、「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだ。実際の方法論よりも、よりマクロな視点で指針を示してくれる本だった。とてもためになった。

著者のロバート・キヨサキの実の父は本書における貧乏父さんだ。四年制大学を二年で卒業し博士号を取得、その後もさらに高度な教育を受けるためにスタンフォード、シカゴ、ノースウェスタンと三つの大学をはしご。どの大学でも成績優秀で授業料は奨学金でまかなった。一方の金持ち父さんは著者の友人のマイクの父親で、ハイスクールすら卒業していない。二人の父はどちらも生涯を通じてよく働いた。二人とも仕事はうまくいっていて収入も多かった。それなのに、貧乏父さんは死ぬまでお金に苦労をし、金持ち父さんはハワイで最も裕福な人間の一人になった。本書では、二人の父を対比しながら、金持ちになるための金持ち父さんの教えと著者の経験則と哲学について説いている。本書は「教えの書」と「実践の書」に分かれる。

教えの書

教えの書では金持ち父さんの六つの教えを説いている。

第一の教え:金持ちはお金のためには働かない

なぜ金持ちになれない人たちがお金のために働くのか。金持ち父さんは言う。「みんな自分の本当の気持ちを見つめず、お金がなくなったらどうしようと心配ばかりしている。そして、その恐怖に真正面から立ち向かおうとしないんだ。つまり、考えもせずに反応だけしている。頭を使うかわりに感情に任せて反応だけしているんだ。それで、いくらかお金を手にすると今度は、喜びと欲望、さらには欲張りの感情が出てくる。そして、またそれに流されるままに反応するんだ。考えもしないでね。」。金持ち父さんは続ける。「もし、お金がなかったらどうしようという恐怖に考え方を支配されなければ、その恐怖をなくすためにわずかな金を稼ごうと大急ぎで仕事を探しに行ったりせずに、『長い目で見て、仕事をすることがこの恐怖をなくすための最善の方法なのだろうか』と自分に問いかけるかもしれない。私に言わせれば、その疑問の応えはいつもノーだ。とくに、人間の一生を考えたらね。本当を言って、仕事をすることは長期的な問題に対する短期的な解決策でしかないんだ。」

これには思い当たる節がある。仕事で毎週行われるミーティングで何らかの成果を示す必要がある。入社間もない頃は、とにかくデータを出さなくてはという焦りに捕われ、「とにかく何でもいいからデータを集めよう」ということで明確な目的を持たずにデータを収集した。そうやって収集したデータに意味があるはずもなく、会議の場を混乱させてしまったことがあった。まさに考えもせずに反応してしまったのだ。一番大切なことは、「何のためにデータを取るのか」という目的をしっかりと考えることだ。データを集めているときの方が、せわしなく作業をしており、作業をしていることが「とにかく前進している」という錯覚をもたらしてくれるので楽だった。だが実際には前進などしていないかったのだ。時間を切られいているのに作業をしないことはかなりプレッシャーなのだが、きちんと頭を働かせて、目的をじっくりと明確化することが結局は近道だということを、多少時間はかかったが学ぶことができてよかったと思っている。以下、再び本書に話を戻す。

金持ち父さんの訓練の一環で、コンビニエンスストアでタダで働かされていた幼き日の著者とマイクは、自分たちで考えてビジネスを開始する。その店では売れ残った漫画雑誌の表紙を、小売りしなかった証拠にするために半分だけ切り取って、雑誌の本体は捨ててしまっていた。著者とマイクはこの漫画雑誌を転売しない約束で貰い受け、漫画図書館を運営した。10セントの入場料で二時間漫画が読み放題。著者は言う。漫画図書館を運営して得た一番の教訓は、自分が実際にその場にいなくてもその事業自体がお金を生み出してくれたことだと。お金が自分のために働いてくれたのだと。

第二の教え:お金の流れの読み方を学ぶ

著者は「金持ちになりたければ、お金について勉強しなければならない」ということを強調している。最も基本的なことは資産と負債の違いを学ぶことだ。金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人たちは負債を手に入れ、資産だと思い込む。金持ち父さんは明快な言葉で資産と負債の違いを説明する。

  • 資産は私のポケットにお金を入れてくれる
  • 負債は私のポケットからお金をとっていく

金持ちになりたいなら、ただ「資産を買うこと」に生涯を捧げればいい。金持ちになれない人が必ずしも十分なお金を稼いでいないというわけではない。問題は彼らが資産ではなく、負債を買うために生涯を費やしていることにある。資産からのお金の流れと負債からのお金の流れは以下の図で単純に表現できる。

具体例として本書で示されているのは、貧乏人、中流、金持ちのお金の流れの図で、以下のようなものである。

著者が強調するのは「どうやってお金を稼ぐか」ではなく「お金をどう使うか」が重要だという点。お金を稼いだあとどうするか、人にそれをとられないようにするためにどうするか、それを長く持ち続けるにはどうしたらよいか、そのお金をどうやって自分のために働かせるかといったことを知らなければ、いくらお金を稼いでも無駄だという。たいていの人はキャッシュフロー(お金の流れ)を理解していないために、自分がお金に苦労している原因がわからない。「一生懸命に働くことはいいことだ」とだけ教えられてきたために、「自分のためにお金を働かせる」方法を知らない。そのために、必要以上に働き続けることになる。中流の人のお金の流れを、やや極端ではあるが若い夫婦という形で著者が説明している箇所を抜き出す。

一生懸命働く人たちの人生のパターンは決まっている。高い教育を受けた若い男女が結婚し、それまで一方が暮らしていた狭苦しい賃貸アパートでいっしょに生活を始める。二人は間もなく、一人で暮らしていた頃よりお金がかからないことに気付き、お金を貯め始める。
問題はアパートが狭すぎることだ。二人は家を買い、子どもを持つことを夢見てお金を貯める決心をする。一つの世帯に収入の道は二つ。二人は仕事に精を出す。
二人の収入が上がり始める。
収入が上がると、それにつれて支出も増える。
〜中略(累進課税で所得が持って行かれることが支出が増える一因として説明している)〜
収入が増えたからそろそろ……と若い二人は夢に見た我が家を買う。家を手に入れると税の負担が増える。固定資産税だ。それから二人は新しい車を買い、家具を買い、新居に合わせて電化製品を新しくする。そして、ある日突然、住宅ローンやクレジットの支払いで負債の欄がいっぱいなのに気づく。
こうなると二人はもう「ラットレース」の罠にはまったも同然だ。子どもが一人生まれる。二人はさらに一生懸命働く。前と同じプロセスが繰り返される。

筆者はこの例に出てくるような夫婦が、金銭的な情報を読み解く力が不足しており、資産と負債の違いをわかっていないからお金に困ることになると言う。

家は「資産」か「負債」かという問題について、著者は「負債」だと言う。家を持つことに関しては、以下の点をよく頭に入れておくべきだと主張している。

  1. ほとんどの人は完全には自分のものにならない家のためにお金を払い続ける。つまり、ほとんどの人は何年かおきに新しい家に買い換えるが、そのたびに前の家の支払いはすませても、たいていは前より大きな家を買うために新たな三十年ローンを組むことになる。
  2. たとえ住宅ローンの返済の利子分を所得税の対象の所得から控除することができたとしても、そのほかの経費は税金を取られたあとの収入から支払わなければならない。たとえローンを払い終わったところで、その経費は変わらない。
  3. 固定資産税ものしかかってくる。
  4. 家の価値は下がり得る。
  5. 家にすべてのお金をつぎ込んでしまったら、前にも増して一生懸命働くしか選択肢がなくなる。家にかかるお金が支出としてどんどん出て行く一方で、資産の欄には何も貯まらないからだ。これにより、大切なチャンスが失われるという損失を被る。

最後の「チャンス喪失の損失」についてより詳しく言及されている。

  1. 時間の喪失。本当の資産に投資していれば、ローンをせっせと返しているあいだにその価値が上がったかもしれない。
  2. 投資にまわせるはずの資本が減る。家を買ったことで高額の維持費が発生する。
  3. 教育を受ける機会の喪失。ふつう人は持ち家や貯金、年金などを資産として考え、それをあてにする。そして投資に回すお金はないからと言って、投資には手を出そうとしない。これは投資の経験を逃していることになる。このようにしてたいていの人は、「目の肥えた投資家」になるチャンスを失う。一番割のいい投資というのは、こういった「目の肥えた投資家」にまず最初に売られ、次にこの投資家が一般の「安全なものだけを買う投資家」に売りさばいて利益をものにする。
第三の教え:自分のビジネスを持つ

著者の考える本当の資産として以下のものが挙げられている。

  • 自分がその場にいなくても収益を生み出すビジネス。著者は会社を所有しているが、実際の運営は他人がやっている。曰く、もし自分がその場にいて働かなければならないなら、それはビジネスではなく、自分の「仕事」だ。
  • 債券
  • 投資信託
  • 収入を生む不動産
  • 手形、借用証書
  • 音楽、書籍などの著作権特許権
  • その他、価値のあるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など

著者は言う、本当にやる気のある人でない限り、会社を興すことはすすめない。それよりも、今の仕事を続けながら、その一方で自分のビジネスを持つことを考えるべきだ、と。「自分のビジネスを持つ」とは、本当の意味での資産を増やし、それを維持することを意味している。一度手にしたお金は二度と出て行かないようにする。貸借対照表の資産欄に入ってきたお金は、自分のために働いてくれる労働者だと考えるとよい。

第四の教え:会社を作って節税する

お金に関する知識は次の4つの専門的分野の知識から成り立つと著者は説明する。

  • 会計力
    • 貸借対照表損益計算書といった財務諸表を読んで理解できる能力。この能力を持てばどんな種類のビジネスにおいても強みと弱みを見極められるという。
  • 投資力
    • お金がお金を作る科学。投資における戦略と方式。
  • 市場の理解力
    • 需要と供給の科学。市場の理解には、市場の「人為的」側面を知ることが重要という。人間の感情によって左右される側面だ。クリスマス商戦で突然セサミストリートのエルモ人形が爆発的人気を博したりするのが一例だ。そして基本的な投資のセンス、つまり投資に関する経済的感覚が必要。時々刻々と変化する市場の動向を見て、いま投資するのが適切か否かを判断できる「感覚」が必要。
  • 法律力
    • 会計、投資、市場に関する専門知識のまわりを「会社」という殻で包むと、資産を大幅に増やすのに役立つ。会社を持つことによって得られる税の優遇措置や、保護といったことに関する知識を持っている人間は、会社に勤めていたり、小さな事業を個人で営む人たちと比べて早く金持ちになれる。その違いは歩くのと飛ぶのとの違いほどもある。

会社を持つと、以下の様に法律を利用することができる。

  • 有利な税金対策
    • 税金に関する専門知識は多岐にわたっており興味深いが、資産やビジネスの規模がかなり大きい場合を除いて、すべてを知る必要はない。重要なのは、「会社に雇われている人は、稼いだ収入から税金が引かれ、残ったお金で生活をやりくりする。」一方で「会社は収入を得たら、そこから経費を差し引き、残ったお金に税金が課される」という違いを最大限利用すること。具体例で言えば、会社を作ると、休暇旅行のついでにハワイで重役会議をすれば、その費用は経費にできるし、会社の車の購入代金、保険料、修理代も会社の経費にできる。スポーツクラブの会員権だって会社の経費にすることが可能だし、接待や打ち合わせを兼ねてレストランで食事をした場合は会社の経費にできる。ほかにも経費として落とせる支出はたくさんあるが、そのどれも合法的に、税金を支払う前の収入から落とすことができる。
  • 訴訟から自分を守る
    • 債権者から資産を守るために、会社や信託といった仕組みを利用して財産の大部分をうまく隠すことができる。合法的な保護によって何重にも守られることになる。訴訟を起こされても、「たしかに金持ちだが実際には何も持っていない」ということになるらしい。

まとめると以下のようになる。

  • 会社を持っている金持ちは
    1. 稼ぐ
    2. お金を使う
    3. 税金を払う
  • 会社のために働いている人々は
    1. 稼ぐ
    2. 税金を払う
    3. お金を使う
第五の教え:金持ちはお金を作り出す

金持ち父さんは言う「中流以下の人はお金のために働き、金持ちは自分のためにお金を働かせる。お金が実際に存在すると思う気持ちが強ければ強いほど、お金のために一生懸命に働く。お金は実際には存在しないものだとわかれば、早く金持ちになれる。」、「(お金とは)『これがお金だ』ってみんなが同意して決めたものだ。」。お金が実際に動き回るのではなく、「同意」が動き回った結果、お金が作られる。ここでは投資でお金をつくることはロケット工学のような複雑なものではないということが著者の実体験を織り交ぜつつ述べられている。「同意」を動かすことで如何にお金を作り出すかが述べられている。ここに書かれている方法がサブプライム問題後の現在で通用するかどうかは疑問だが、金持ち父さんの言葉に集約されている本質的なメッセージは今なお重要であるように思われる。

第六の教え:お金のためではなく学ぶために働く

ここでは専門知識と広く浅い知識を対比させている。著者の考え方は、専門をきわめるよりも広く学ぶべきということだ。専門を究めることは強みになるが、一つのものしか学ばないという姿勢は多分にリスキーであるとの見解だ。これはもっともだと思う。そして学ぶために働くことを推奨している。それでも専門一筋で行きたいならば、労働組合が強力な会社に勤めるべきだという。特定の産業に特化した知識はその産業の終焉とともに価値を失うからだ。そのときに労働組合に入っていれば身を守れるかもしれない。

貧乏父さんは、自分の能力が上がれば上がるほど一生懸命働いた。また、専門性を高めれば高めるほど深く罠にはまって行った。その結果、給料は上がったが、選択の余地は狭まった。貧乏父さんは州政府の仕事から閉め出されてからまもなく、職業に関して自分がどんなに弱い立場にいるか、その実情に気づいた。けがや年をとったために急に試合に出られなくなったプロスポーツ選手のようなものだ。高収入の地位は失われ、頼りになるのはごく限られた技術だけだ。その後、貧乏父さんは労働組合にずいぶん肩入れするようになったとのことだ。組合に入っていればどれほど助かったかということに気がついたのだ。

一方、金持ち父さんは浅く広く知識を増やすようにいつも言っていた。また、自分よりも頭のいい人間と仕事をし、そういう人間を集めて一つのチームとして働かせるようにとも教えた。

著者は、「いくら稼げるか」ではなく「何を学べるか」で仕事を探すべきだと主張している。ビジネスの実務の全体的な知識を得たり、それぞれの部や課がどのような相互関係を持っているかを学ぶことの重要性を説いている。稼ぐよりも学ぶことに重点をおいて仕事を探した方が、短期的には収入が減るかもしれないが、長期的に見ればたくさんのおまけがついてくる、とのことだ。

実践の書

お金の流れは読めるようになったのに資産を増やすことができないという人にとって、大きな障害となるものとして次の五つが挙げられている。

  • 恐怖心
  • 臆病風
  • 怠け心
  • 悪い習慣
  • 傲慢さ

お金を失うことに対する恐怖心を克服することが第一に重要。敗北によってやる気を奮い立たせるものが勝者になり、敗北に寄よって打ち負かされてしまうものが敗者となる。負ける人は失敗を避けようとして負ける。だが実際は、失敗は敗者を勝者へと変える。

また、雑音に耳を傾けて臆病になってしまわないことが重要。頼みもしないのにこちらの欠点や弱点、その方法でうまくいかない理由を指摘してくれてしまう友人や家族がいるというのもやっかいだ。「なんでそんなことができるだなんて思うんだい?」、「そんなにうまい話がだったらみんながそうしているはずじゃないか」、「そんなことしたってうまくいきっこない。きみには何もわかっていないよ。」、身近な人や、マスコミ等の騒音に惑わされないでいるための勇気を持つことが重要だ。金持ち父さんは言う。「臆病な人間は決して勝者にはなれない。根拠のない疑いや恐怖が臆病な人間を作る。臆病な人間は批判をし、勝利を収める人間は分析をする。」

忙しい人が一番の怠け者、というケースもあり得る。著者は言う。

近頃私がよく出会うのは、忙しすぎて自分の財産に注意を払うことを怠けている人たちだ。自分の健康に注意を払うことを忘れている人もいる。どちらの場合も理由は同じ ---- 忙しいからだ。こういう人たちがいつまでも忙しい状態を続けるのは、自分が真正面から立ち向かわなくてはならない問題を避けるためにほかならない。
〜中略〜
心では「本来はこうあるべきなのに」とわかっているのに、それを避けている自分に気づいたときにはいつも、「それをしたらどんなプラスがあるだろう?」と自問しよう。そして少し欲張りになることだ。それこそが怠け心につける最良の薬なのだから。
〜中略〜
金持ち父さんは「欲張ることよりも、それに関して罪の意識を持つことの方がよくない」とよく言っていた。その理由は、罪の意識が、欲望から生み出される健全な精神を骨抜きにしてしまうからだ。個人的には私は、ルーズベルト大統領夫人で「世界人権宣言」の起草に力をつくしたエリノア・ルーズベルトの、次のような言葉が一番要点をついているように思う。それは「自分の心に聞いて『正しい』と思うことをやることだ。なぜなら、いずれにせよ批難を受けることになるのだから。たとえ何をしようと、また何もしなくても、文句を言われる」というものだ。

私たちがみなよりよい生活を求めているからこそ世界は進歩する。

自分への支払いを最優先にすることが重要。自分への投資というのは「生活が要求する期限を切られているが故に重要そうに映る何か」に対して、経済的・時間的にあとまわしにされる傾向がある。そうではなくて、自分への投資を最優先にして、経済的・時間的な余裕がない状態がもたらすプレッシャーをバネにして自分を強くすることが重要。「生活が要求する期限を切られているが故に重要そうに映る何か」をどうにか頭を使って対処する。自分に対する支払いを先にすれば、お金に関して自分が強くなる。頭も鍛えられ、実際にお金も儲かる。一方自分に対する支払いを最後にすると自分が弱くなる。会社の上役や、税金や借金の取り立て人、家主なんかに一生追いかけ回されることになる。それもこれも、お金に関してよい習慣を身につけていないというだけの理由による。

傲慢にならないことも重要。傲慢さはエゴに無知が加わったもの。金持ち父さんの言葉。「知識が私にお金を儲けさせてくれる。無知はお金を失わせる。傲慢さが頭をもたげてくると、いつも私は損をした。なぜなら、傲慢な気持ちでいるときは、自分が知らないでいることは大して重要じゃないと本気で信じているからだ」

著者が考える、スタートを切るための十のステップを挙げている。

  1. 強い目的意識を持つ --- 精神の力
    • これは当たり前。「やりたいことリスト」と「やりたくないことリスト」を作ることが強い目的意識の醸成に効果があるのではと提案している。
  2. 毎日自分で道を選ぶ --- 選択する力
    • 長い目で見て、着実に自分を成長させられる教育を選択して、自分に投資すべきと述べている。
  3. 友人を慎重に選ぶ --- 強力の力
    • 著者は言う、友人のなかでもお金にヒイヒイ言っている人たちは、お金やビジネス、投資といったことについて話すのがきらいだ。そういった話は「あさましい」とか「知的でない」と思っているのだ、と。そういう友人からも反面教師的に学び、金持ちの友達からも学ぶ。著者曰く、金持ちの友人に共通することは、お金に興味があって、それについて話すのが好きなので、同じくお金に興味を持っている著者も彼らから学ぶところが多いとのこと。また、市場の波を読むのに役立つ情報をくれる友人も当然重宝する。
  4. 新しいやり方を次々と仕入れる --- 速習の力
    • セミナーに出るなどして、知識を得て、そして実行する。これを繰り返すことで、早く学ぶことが重要。
  5. 自分に対する支払いをまずすませる --- 自制の力
    • これに関しては前述の通り。付け加えると、借金をしないこと。資産を作る前に、大きな家やいい車を買わない。そして、収入が少ないときでも貯蓄や投資用の資産を取り崩したりせずに、外からのプレッシャーが大きくなるにまかせ、そのプレッシャーを利用して自分を高めるべき。
  6. ブローカーにたっぷり払う --- 忠告の力
    • いいブローカーは良質は情報を提供してくれお金を儲けさせてくれるだけではなく、自分の時間も節約してくれる。ただしいいブローカーを見つけるのは簡単なことではない。著者はブローカーを雇う際には、まず面接をして、相手が個人的にどれくらい不動産あるいは株を持っていて、税金を何%払っているかを聞くそうだ。
  7. もとはかならず取り戻す --- ただでなにかを手に入れる力
    • 保有する株が値上がりした場合などは投入した金額分を売ってしまい、もとを取り戻しておくのもひとつの手。賢い投資家になるためには、元手を回収したあとにただで手に入る資産に注意を払う必要がある。
  8. ぜいたく品は資産に買わせる --- 焦点を絞ることの力
    • 例えばポルシェが欲しいと思ったら、一番簡単な方法は借金をしてしまうこと。このように負債の欄に焦点をしぼるのではなく、資産の欄に焦点をしぼることが重要。いま楽に見える道があとになって険しくなり、険しく見える道があとになって楽な道になることがよくある。
  9. ヒーローを持つ --- 神話の力
    • ヒーローは我々に刺激を与えてくれるばかりではなく、物事を簡単に見せてくれる。投資をひどくむずかしいことのように考え、人にもそのように言う人が多すぎる。そういう人に近づかず、投資がやさしく見えるようにしてくれるヒーローをさがすことが大切。
  10. 教えることで得る --- 与えることの力
    • 何かが足りないとか何かが必要だと感じたときには、まず、それを人に与える。そうすれば後になって、二倍にも三倍にもなって返ってくる。ある男がいる。その男は凍てつく寒さの夜、両手いっぱいの薪を抱えてストーブの前に座っている。そしてストーブに向かって叫ぶ。「おれを温めてくれたら、薪をくべてやるよ!」。


図書館から借りてきた数冊の本を読んだだけだが、多少は勉強できた。本書の実践の書にある通り、まずははじめてみようと思う。本書で学んだことがこの先指針となり大いに助けとなることと思う。良書だった。